平成28年度 主題研究
   

研究主題

数学的な表現力を育む算数科学習指導法の研究


研究の方向性

本校では、算数における4つの力として「既習事項を活用する力」「簡潔明瞭に表現する力」「学び合う力」「発展させる力」を挙げ、これらの力を確実に育むことで、子どもたちの数学的な表現力を育むことを目指す。


主題設定の理由

(1)現代社会の要請から

(2)「北九州市子どもの未来をひらく教育プラン」の改定から

(3)本校児童の実態から

(4)本校学校教育目標の具現化から


研究の仮設

  次の4点に留意して学習を展開していけば、子どもたちは自分の考えを簡潔明瞭に表現する力を身につけることができるであろう。

<視点1>解決の見通しをもたせる場面の工夫

<視点2>45分の授業の学習過程の工夫

<視点3>問題解決の流れがわかる「板書」や「ノート指導」の工夫


<視点4>常時活動を通して、基礎的・基本的な知識や表現技能を鍛える取組


仮説実証のための具体的な方策

(1)  解決の見通しをもたせる発問・教室掲示の工夫

  ・ 本時の学習に必要となる既習の内容を掲示し、児童の目にとまるようにする。

  ・ これまでに学習した内容と同じところやちがうところを、教師の問いかけをきっかけとして見付け出していくことで、「既習と比べる」ことを習慣化していくようにする。

(2) 1単位時間の学習過程の工夫

  ・ 主問題を集団思考で丁寧に解決

まず、全体で既習事項の確認を行い、見通しをもたせる。そして、ペアやグループで、具体的にどのように既習事項を活用し、問題解決を行うか話し合うことで思考の流れを明確化する。その後、集団思考に移し、教師の発問を中心に解決の流れを簡潔にまとめていくことで、本時の学習の解決の流れをつかませる。

  ・ 適用問題は個人思考で自力解決

主問題で経験した問題解決の仕方を活用しながら適用問題を個人思考で解くようにする。この流れにすることで、児童は主問題で「解決方法の表現の仕方」を一度経験しているので、「次の問題も同じように考えれば解けそうだ。」という見通しをもち、取り組むことができると考える。また、自力解決ができることで、次時への意欲につなげていけるようにする。

  ・ 板書でも使えるヒントカード

    学習内容によってはヒントカードが有効な場合もある。ヒントカードは、板書で使用する形式とそろえたものを児童にも配布することで、個人思考で自力解決が難しかった児童が¥も、集団思考での解決の際に、ヒントカードをもとにして考えることができるようにする。

 

(3) 問題解決の流れがわかる「板書」や「ノート指導」の工夫

  ・ 板書

    (2)で、主問題を集団解決の形で進めていくことを示した。この時、板書において、解決に必要となる既習事項や自分の考えを書く際に欠かせない言葉、説明する力を付ける言葉(前・比べる・もとにする・同じ・だから・はじめに・次に・最後に・私は、など)をキーワードとして分かりやすく示すなど、児童が「解決方法の表現の仕方」が分かるような板書を行うようにする。

    ※ 基本は湯川スタンダードの流れに沿う。思考の流れがわかる板書を。

  ・ ノート指導

    問題解決の場面では、板書と同様に、キーワード(絵、図、式、言葉、説明する力を付ける言葉)を活用しながら表現させるようにする。

※ 基本は湯川スタンダードに沿ったノート記述を徹底して指導していく。

      

(4) 常時活動を通して、基礎的・基本的な知識や表現技能を鍛える取り組み

  ・ 声出し計算

    基礎的な計算や、覚えておくことが必要な内容を声に出しながら繰り返し練習(アウトプット)し、計算力等をつけ、学習内容の定着を図る。また、声に出すことへの抵抗感の緩和を図る。

  ・ 朝の帯時間の活用

    毎朝の15分間の帯時間を使い、算数の基礎学力を定着させる。また、読書の習慣をつけ、読む力を育てる。

    以下のような1週間の活用方法を計画した。

朝自習

(計算プリント)

国語チャレンジタイム

裁量

読書タイム

算数チャレンジタイム

    月曜日、金曜日には、計算プリントや図の表現技能に特化した訓練を行うことで、算数の基礎学力の定着や自分の考えを表現するための図の活用スキルの定着を図る。計算プリントでは、類似した問題を繰り返し解くことで、苦手な問題を見つけたり、つまずきの対策を行ったりしていく。図の表現技能に特化した訓練では、定規で直線を引く練習からはじまり、線分図や液量図などの図の活用法を繰り返し練習することで、見通しや自力解決の場面で進んで自分の考えづくりに活用できるようにする。

    木曜日には読書の時間を設けて、読書習慣の定着から読解力の育成を図る。