23年実践 * 24年実践 * 25年実践

 読んだことをもとに自分の考えをまとめ、表現できる子どもの育成をめざす国語科学習指導

― 実生活で生きてはたらく読解力を育む指導の工夫 ―


【年次計画】
  1年次:「読むこと」領域 単元「文学教材」での実践
  2年次:「読むこと」領域 単元「説明文教材」での実践
  3年次:「読むこと」領域と「書くこと」領域の学習を関連させた実践








  児童にどのような能力や態度を身に付けさせるのかを明確にし、そのために必要な言語活動と読書活動を組み込んだ単元構想を工夫する。その上で、読んだことをもとに自分の考えを書くことへの意欲を高めたり、考えを深めたりするための交流活動の工夫を行えば、児童は読解力を身に付けることができるであろう。 


 1)読解力を育むための年間指導計画の作成
2)身に付けさせたい「読むこと」の能力や態度の明確化
3)自分の考えを表現できるようにするための単元構想の工夫
  A 並行読書・比べ読み・テーマ読書等読書活動の充実
  B 単元を貫く言語活動の設定と学習過程の明確化
  C 子どもの生活(日常生活・他教科・領域の学習も含む)に結びつけた導入の工夫と
    学習全体を振りかえる場の設定
  D 「読むこと」や表現することへの意欲を高めたり、考えを深めたりするための「交流活動の工夫」
4)児童の実態把握と個の(読解力がある・普通・課題が大きい)児童の変容を見取り指導の改善に生かす。


学年 単元名 教材 概要と特徴
1年 こえにだしてよもう 「くじらぐも」 学習のゴール:「くじらぐも」の音読発表会をしよう
登場人物の会話や見えたものをふき出しにかき、交流する活動を通して、想像を広げながら読む。
中川季枝子さんの本やファンタジー作品の並行読書
2年 「アーノルド=ローベル」の本を読んでお気に入りのお話を紹介しよう。 「お手紙」 学習のゴール:「アーノルド=ローベル」の本を読んで、お気に入りのお話を紹介しよう
紹介カードで、お気に入りの本とそれを選んだ理由を発表し合い、友達の考えのよさやいろいろなお話の楽しさを味わう。
アーノルド=ローベルの「ふたりは○○シリーズ」の本や同じ作者の並行読書。
3年 せんそうやへいわについての本を読みくらべよう 「ちいちゃんのかげおくり」 学習のゴール:戦争や平和についての本を読み、感想を書き、読み合おう。{伝え合う}
「ちいちゃんのかげおくり」の中から一番心を打たれた場面を中心に文章を引用したり、その理由を書いたりし、それを読み合う活動を通して、一人一人の感じ方に違いがあることに気付く。
戦争や平和をテーマにした本の並行読書
4年 ごん日記を書いて、紹介し合おう 「ごんぎつね」
「てぶくろを買いに」他
学習のゴール:ごん日記を書いて、紹介し合おう
ごん日記を紹介し合う。(「この文章からこのように考えました。」と理由を添えて話す。お互いの共通点や相違点を考えながら、感じたことや考えたことを話し合うなどの交流活動を通して一人一人の感じ方や考え方に気付く。
新美南吉の作品の並行読書。
5年 伝記を読んで、自分の生き方について考え、伝え合おう。 「百年後のふるさとを守る」 学習のゴール:「伝記を読み、自分の生き方について考え、伝え合おう。」
伝記を読んで、人物のすばらしさや、生き方について考えたことを書いた文章を読み合い、考えの良さを見つけ、話し合う交流活動を通して、自分の考えを広げたり深めたりする。
伝記の並行読書。
6年 わたしのNo.1を紹介しよう 本は友達 「わたしと本」 「森へ」
学習のゴール:「推薦文を書いて、本の魅力を伝え合おう」
印象に残った部分や推薦したい部分を発表し、話し合う交流活動を通し、「森へ」の表現や内容のすばらしさ、それを感じた友達の考えのよさに気付き、自分の考えを広げたり深めたりする。
星野道夫氏の本、写真が効果的に使われている本や自然や命の素晴らしさを伝える本の並行読書。
「わたしと本」の学習をきっかけにした読書活動
国語や社会、理科の単元学習や総合的な学習のテーマとの関連本、同一作者の作品や同一ジャンルの本、いろいろなジャンルの本(読書の幅を広げる読書活動につながる本)の並行読書


 <着眼1>読解力を育むための年間指導計画の作成
 各単元で取り上げる指導事項を明らかにし、ふさわしい言語活動と並行読書を設定した年間指導計画の作成や、北九州市スタンダードカリの活用で、他の単元との系統も把握しながら見通しをもって手だてを工夫でき、指導の充実を図ることができた。
「平和に関する本・3年」や「伝記・5年」を読んで感想文を書く言語活動は、総合的な学習の時間や道徳の学習などで活用できた。
 また、考えをまとめ、表現する読解力は、書く言語活動と深く関わる。6年生の実践は単に書くことの領域の学習とするのではなく、年間を見通して、書くことの学習と複合させ読解力の育成を目指すことができた。
 今後は他教科の学習との関連や書くことの領域と複合させた単元の開発などを考え、指導計画を実践ごとに見直し、改善していく必要があると考える。

 <着眼2>身につけさせたい「読むこと」の能力や態度の明確化
 単元のねらいと着眼1の年間指導計画をもとに児童にどのような力が付き、どのような力がついていないかを把握することで、付けたい力を明確にもつことができた。
 そのことは言語活動や手だての工夫を生み出し、されに言語活動を成功させるために必要な力やその実態も把握して指導に当たることにつながり、着眼2は有効であった。
 着眼4とも関連させ、実践後に付けたい力が身に付いたか見取り、不十分な児童への見通しをもった指導の継続が必要であることが分かった。これは、今後の課題である。

<着眼3>自分の考えを表現できるようにするための単元構想の工夫
A 並行読書・比べ読み・テーマ読書等読書活動の充実
 読書を通して、考えをもち、表現する上で有効であった。また、読書の楽しさを味わったり、本を選んで読んだりすることにもつながった。
B 単元を貫く言語活動の設定と学習過程の明確化
 単元を貫く言語活動をゴールを明確にし、話し合いながら学習計画を立てていくことで、児童は常に学習のゴールを意識して主体的に学び続けることで読解力(教師にとっても付けたい力)を身に付けていくことができた。
C 子どもの生活(日常生活・他教科・領域の学習も含む)に結びつけた導入の工夫。学習全体を振りかえる場の設定
 児童の生活や他教科・領域の学習と関連を図りながらの導入の工夫は、児童に読む目的や見通しをもたせるのに有効であった。
 学習全体を振りかえる場の設定は児童が自分の成長を実感することにつながった。また、学習の楽しさや充実感を味わうことができ、次の学習の意欲につながっていった。
 手だての改善を図り、学習の終末に教材文に戻り、並行読書での読みと今日の自分の読みとを比べたり、並行読書後にもう一度、課題解決したことをふり返ったりすることで、教材文の読みが深まることも分かった。
D 「読むこと」や表現することへの意欲を高めたり、考えを深めたりするための「交流活動の工夫」
 学習計画を児童とともに立てていく場面での交流活動は、児童がゴールを意識して意欲的に学習することにつながり有効であった。
 考えをもつ段階で、教材文に考え(考えだけでなく、その根拠も)を書き込んだ付箋を貼っていったり、ワークシートを工夫したり、考えを表す段階で、書き方のポイントやモデル文を提示したりという手だてをとることは、考えをもち、まとめ、表現する上で有効であった。
 交流の場面では、交流会のポイントや手順を示すことでスムーズに交流活動を行うことができ、学年に応じた交流(考えのよさに気付く、考えの違いに気付く、自分の考えを深めたり広げたりするなど)ができた。
 特に上級生では「自分の考えを持つ」から「自分の考えを話す・友達の考えに自分の考えを重ねながら考えを広げたり深めたりする」読みにステップアップすることができた。
 グループ交流から学級全体での交流へ、と広げていったこともよかった。
しかし、グループ交流の場面では、自分の順番で発表し、聞き合うというグループもあった。
学年なりの練り合いが高まるよう「話す・聞く」学習とも関連させ質の向上を目指す必要がある。

また、理由と根拠を区別して考えを表現したり、交流したりするための手だてが不十分だったことが課題である。学年に応じた手だてを工夫し研究を深めていきたい。
【着眼点3での課題】
年間指導計画があるため、教師の意図がやや強い単元構想になる傾向があった。児童の思いを大切にした単元作りをしていくことが必要である。
 

 <着眼4>個に応じた指導の工夫を行い、児童の変容を見取り、指導の改善に生かす
まず、単元の重点指導項目への個に応じた手だてを考え指導した。さらに1単位時間ごとに手だてを具現化して実践した。
・ワークシートから、個の「読み」を見取り、個に応じた指導に生かした
・座席表に個の実態を把握し、記入したものを用意し、グループや全体での交流活動の指導に生かした。例えばアドバイスカードを渡すことで、一人一人が自信をもって話し合いに参加でき、話し合いでの課題が明確になり、読解力に課題が大きい児童も目標を達成することができたなど。
本時だけでなく、指導の継続が効果をあげると感じる。

以上のことから、仮説の有効性はある程度検証できたと考えることができる















 「読むこと」領域において、児童に身に付けさせたい能力や態度を明確にし、そのために必要な言語活動と読書活動を組み込んだ単元構成をする。そのうえで、個々の変容を見取りながら児童が考えをもち、表現し、伝え合うことに視点をあてた指導を工夫すれば、児童は読解力を育成することができるであろう。

<着眼1>本単元で児童に身に付けさせたい力
目標や重点指導事項を明らかにして、他学年や他の単元との系統を把握しながら、見通しをもって手立てを工夫でき、指導の充実をはかることができた。  資料を選んで読み、趣旨をとらえ、自分が伝えたいことをわかりやすく説明する学習は、他教科の学習などで、活用できた。  単元を貫く言語活動を設定したため、読むこと・書くことの複合単元としての成果があった。  今後も、書くこと等、他の領域と関連させた単元開発や他教科でも活用を計画的に位置付けた指導計画の改善に取り組んでいく。

 <着眼2>児童に身に付けさせたい力に合う単元を貫く言語活動
 言語活動とゴールを明確にし,それに必要な学習計画を立てていくことで,児童は常にゴールを意識して主体的に学んでいった。このことから,どのような場面や状況下で,どのような学びを生かせばよいかという応用力や行動力が身に付いたと考える。
また,【着眼1】とも関連し,言語活動を焦点化したり,内容をスリム化したりしたことで,身に付けさせたい力を確実に身に付けさせていくことができた。
  今後は,児童の実態に合い,身に付けさせたい力に直結するという視点に加え,児童がより楽しく取り組めるという点で言語活動を見直し,開発していきたい。

 <着眼3>児童が考えをもち、表現するための手立て
A ワークシートや写真等の提示による教材の工夫
  児童の関心・意欲を高める,内容や段落相互の関係をとらえる,読んで考えをまとめ,表現す  るなど,身に付けさせたい力に直結する学習活動の展開が確実にでき,有効であった。
  写真の効果的な提示,教材文の段落ごとに分けたカードの並べ替え,自分の考えをまとめ,表現するワークシートなどに効果が見られた。

B 並行読書を取り入れた読書活動の充実
  説明文の学習においては,必要な情報を得たり,自分の考え(発信したいことも含む)をもったりするうえで有効であった。日常の読書生活においても,ジャンルにこだわらず,この時々に自分が必要とする本に次第に手を伸ばすようになってきた。また,読書の幅が広がり,読書生活がこれまでと比べて豊かになってきている。休み時間の図書室利用者も増えてきた。しかし,生活の中での問題解決に,これらの学びを生かす能力は,まだ十分でないと言える。
  既習の全説明文教材を小冊子にして,本単元学習の視点で振り返る読書活動においては,次の3点で効果が大きかった。
  @既習教材なので,内容の読み取りの必要がなく,例えば,説明の工夫を見つけるなどのように,同じ課題をもってよむことができる。
  A全員が同じ文を読んでいるので,交流がしやすい。
  B既習を本単元の言語活動に生かすことができる。
中でも特に,説明の工夫や筆者の考えを意識した読みの力を高めていった。

C 考えの違いに気付いたり,考えを広げたり深めたりする交流活動の設定
  昨年度からの継続として,本年度も自分の考えをワークシートや付箋などに書き,それをも   とにグループや全体で交流する活動を設定してきた。さらに手立ての改善を図り,グループの中心にワークシートや紙を置き,キーワードを使って交流すると,自分の考えを表すのが苦手な児童も交流に参加でき,交流が深まった。
  また,出来上がった作品を読み合ってよさを認め合ったり,他学年の人に感想をもらったりす   る交流活動で,成就感や表現する喜び,自分にどんな力がついたかなどを感じることができた。
  しかし,説明文の下書きへのアドバイスでは,読解力の差が大きく,説明の工夫は分かっていても,アドバイスするのは難しい児童がいたことは課題である。

 <着眼4>個の変容を見取った指導の改善
  児童の実態を把握し,読解力上・中・下位の児童へ重点指導事項を身に付けさせるための単元を通した手立てを考え,1単位時間ごとに具現化することで,個に応じた指導ができ,一人一人の読解力を高めることができた。


以上4つの着眼の改善により、児童は読んだことをもとに自分の考えをまとめ、表現する力をつけていくことができ、仮設の有効性は検証できたと結論づけることができる。
 本年度実践の説明文学習では、筆者の思いやそれをわかりやすく説明する工夫に気付き、その工夫を意識しながら説明文を書いたり、友達の説明文や他の説明文を読んだりすることで読解力が高まっていった。


学年   単元名  教材名  概要と特徴
 1  3くみのじどう車ずかんをつくろう  「じどう車くらべ」


<デジタル教科書の言葉を指示している児童>
 【着眼3】
〇実物の見学(消防車・救急車)
〇自動車コーナー
車に関する本・ミニチュアカー
 挿絵やDVD
〇デジタル教科書の活用
〇ワークシートの活用
〇紹介カード

【着眼4】
〇ワークシートの活用
 キーワード見つけ・穴あき
 2  おもちゃずかんをつくろう  「しかけカードの作り方」
「おもちゃの作り方」


<1年生におもちゃの説明をしている様子>
 【着眼2】
〇生活科との関連

【着眼3】
〇並行読書
 おもちゃ作りに関する本
〇写真の活用
〇1年生との交流
 出来上がった図鑑を見せて,感想を伝え合う活動

【着眼4】
〇ヒントカードの活用
 順序を表す言葉や写真に着目
 3  食べ物図かんを作ろう  「すがたをかえる大豆」
「食べ物のひみつを教えます」


<写真を活用した板書>
 【着眼3】
〇単元導入の工夫
 「何からできているでしょうクイズ」
〇写真を活用した板書の工夫
〇並行読書
 食べ物に関する本

【着眼4】
〇ワークシートによる学習の足跡づくり
         →学習の達成感
〇キーワード見つけ
 「くふう」という言葉に着目
【着眼2】
〇クラブ活動(特別活動)との関連

【着眼3】
〇オリンピックの写真の提示
〇既習教材の活用
 説明の工夫見つけ
〇付箋の活用
〇3年生との交流
 リーフレットによるクラブ紹介

【着眼4】
〇下書きの推敲
 4 じょうずな説明の仕方を考え,クラブリーフレットを作って伝えよう  「アップとルーズで伝える」
「『仕事リーフレット』を作ろう」


<既習教材を活用した掲示物>
 【着眼2】
〇クラブ活動(特別活動)との関連

【着眼3】
〇オリンピックの写真の提示
〇既習教材の活用
 説明の工夫見つけ
〇付箋の活用
〇3年生との交流
 リーフレットによるクラブ紹介

【着眼4】
〇下書きの推敲
 5   説明文を書いて,読み合おう  「見立てる」 「生き物は円柱形」


<グル―プ交流の様子>
 【着眼3】
〇ワークシートの活用
〇付箋の活用
 共通点・相違点を見つけて書く。
〇並行読書
 理科的読み物 〇グループでの交流
 付箋をもとに意見交流→考えに安心感
 6  自分の考えをまとめ,意見交流会をしよう  「感情」
「生き物はつながりの中に」


<ヒントカードを見ながら,教師と対話している様子>
 【着眼3】 〇ワークシートの活用
 筆者の考え・書き方の工夫の読み取り
〇感情カード
〇並行読書
 命や生きることについて書かれた本

【着眼4】
〇ヒントカードの活用
 「いつ・どこで・どんなことで」











平成25度研究



読んだことをもとに自分の考えをまとめ、表現できる

子どもの育成をめざす国語科学習指導

― 実生活で生きてはたらく読解力を育む指導の工夫 ―


 「読むこと」領域において,「書くこと」や他教科との関連を意識し、そのために必要な言語活動や読書活動を組み込んだ単元構成をする。そのうえで個々の変容を見取りながら,児童が考えをもち,表現することに視点を当てた指導を工夫すれば,児童の読解力を育成することができるであろう。



<着眼1>本単元で児童に身に付けさせたい力
  本校では,年間の見通しをもったうえで読解力育成を目指すため,「読むこと」年間指導計画を作成した。学習指導要領や北九州スタンダードカリキュラムをもとに,低・中・高学年のまとまりで,「読むこと」の単元名や重点指導事項,言語活動例を明確した。
 年間指導計画をもとに,同じ指導事項の中でも軽重を付け,単元により重点化して指導する事項を決め,身に付けさせたい能力や態度を明確にする。さらに,次の点も分析や把握をしておくことで,指導の成果を上げる。

 <着眼2>児童に身に付けさせたい力に合う単元を貫く言語活動
 言語活動の充実には,基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図るような学習活動を重視するとともに,児童の思考力・判断力・表現力等を育むことを考慮しながら,授業改善をすることが重要となる。

 <着眼3>児童が考えをもち、表現するための工夫
A,ワークシートや写真・実物等の提示による教材の工夫

  児童の実態を考慮して考えを記入できるワークシートを作成したり,教師自作の教材等を効果的に提示したりすることは,児童の思考の広がり,深まりの一助を担うと考える絵や写真等の視覚的な教材提示や児童によるそれらの操作により,文字のみでは漠然としていた事柄が明確になる。また,一人での活動や思考が不十分な児童に対しては,教師による個別支援に加え,ヒントカードの提示等により,考えをもったり,表現したりできるように手立てを講じる。

B,並行読書を取り入れた読書活動の充実

  内容やテーマが教材と類似している本,同じ作者の本,巻末の「本は友達」に掲載されている本の読書を学習と並行して位置づけ,必要な情報を得たり,自分の考えをもったりすることができるようにする。また,既習の教科書教材を並行読書として活用することも説明文の構成や説明の工夫を想起させ,再確認させるためには絶好の手段である。

C,考えを広げたり深めたりする交流活動の設定
  児童が考えをもち,それを書いたり話したりして伝え合う交流活動を設定する。その際には,児童が考えをもち,表現することへの意欲を高めるとともに,友達の考えの良さや自分との考えの違いに気付く,それをもとに新たな考えをもつ,考えを広げたり深めたりする等ができるような手立てを工夫する。
  その過程として,まず,個々で課題解決に取り組み,その後,二人組,(またはグループ),そして全体へと交流の場を広げていく。また,学級や学年の枠を超えた他学年の児童との交流を取り入れた言語活動を仕組むことも,意味のあることである。

  <着眼4>個の変容を見取った指導の改善
  
児童の実態を把握し,読解力が上位・中位・下位の児童への個に応じた手立てを工夫することにより,児童が考えをまとめ,表現し,交流できるようにする。また,児童の変容を見取り,分析して着眼の有効性を検証し,指導の改善に生かしていく。


25年度の研究単元

学年   単元名  教材名  概要と特徴
 1  

くじらぐもに手紙をかこう

 「くじらぐも」



<デジタル教科書のくじらぐもにお別れの手紙を読んでいる児童の様子>
 【着眼3】
〇デジタル教科書の活用
 物語の内容をつかみ,登場人物の心情を
 想像
〇動作化
 イメージ豊かに読むための表現方法
〇並行読書
 中川李枝子や雲に関する作品
〇ワークシートの活用
 考えをまとめ,表現するための吹き出し
 2  もらった人がうれしくなるようなお手紙を心をこめて書こう 「お手紙」



<挿絵を活用し,場面の様子を分かりやすくとらえた板書>
 【着眼3】
〇挿絵の活用
 細かい点まで比較した読み取り
〇音読の工夫
 役割読みを取り入れて登場人物の気持ちを    想像
〇並行読書
 「ふたりは○○シリーズ」本や「手紙」に関連し   た作品
〇ワークシートの工夫
 登場人物の行動,会話,挿絵から場面の様    子を想像
 3  民話を読んで民話カードを
つくろう
 「三年とうげ」



<民話の特徴をつかむためのキーワードを記したワークシート>
【着眼2】
〇「登場人物・組み立て・民話のパターン・おもしろ い表現」の4つの観点に着目した民話カードの
 作成

【着眼3】
〇ワークシートの活用
 民話カード作成につながる,民話の特徴をまと  めた内容
〇並行読書
 ジャンルを意識した比べ読み
 民話に対する理解
 4 委員会リーフレットを作ろう  「アップとルーズで伝える」
「『仕事リーフレット』を作ろう」



<新聞記者に記事の割り付け方を教わっている様子>
 【着眼3】
〇新聞やTVなどのメディアの活用
 新聞記事やTVの映像の提示,新聞記者による  写真や文の使い方の指導
〇交流の場の設定
 ペアやグループ学習
 5,6年生へのインタビュー
〇単元導入の工夫
 相手意識,目的意識を明確にした学習
 5   本のショーウィンドウを作り,選 んだ本を推薦し合おう  「大造じいさんとガン」



<心をひかれた表現をグループで出し合っている様子>
【着眼2】
〇ショーウィンドウを作成
 心をひかれた表現等による優れた叙述見つけ
【着眼3】
〇ワークシートの工夫
 項目ごとにショーウィンドウに切って貼りながら
 作成
○交流の場の設定
 グループや全体の交流
 出来上がったショーウィンドウの図書室展示
〇並行読書
 様々な椋作品
 ブックリストの作成
 6 「ぼくの特製カレー」の味を紹介するカードを作ろう 「カレーライス」



<味メーターの話し合いの前に教師が説明している様子>
 【着眼2】
〇他教科と関連付けた言語
 活動の設定
 【着眼3】
〇並行読書
 同年代の子どもが主人公である本
〇ワークシートの工夫
 味メーターによる味の数値化
〇交流の場の設定
 グループごとの意見交流
○導入の工夫と振り返りの場の設定
 児童の生活に結びつけた導入と学習全体の
 振り返り