平成26年度主題研究    

 つくりだすことに熱中する図画工作科学習

つくりだすことに熱中するとは
  子供は本来「つくる」ことが好きである。「つくりだす」とは子どもが生まれながらにもっている「つくりたい」という表現欲求からさらに「こんなものをつくりたい」という意思が生まれ、意欲が高まった状態であると考える。「つくりだす」には、「つくる」よりさらに能動的、創造的に取り組む意味が込められている。「つくり出すことに熱中する」とは子どもがつくりたいという意欲を持続させながら夢中になってつくり続ける姿ととらえる。
造形への関心・意欲・態度の観点から、自分の思いを表現することを楽しみ喜んで活動する姿
発想や構想の観点から、つくり、つくりかえるなどを繰り返し、発想や構想をしている姿
創造的な技能の観点から、材料や用具などを試行錯誤しながら、自ら創造的な技能を働かせている姿
鑑賞の能力の観点から、自他の作品などから、よさや面白さ、美しさを感じ取っている姿

教科の本質から
 図画工作科の目標を、新学習指導要領では、「表現及び鑑賞の活動を通して、感性を働かせながら」次の3点をねらいとすることを強調している。
つくりだす喜びを味わわせること
造形的な創造活動の基礎的な能力を培うこと
豊かな情操を養うこと
 これらのねらいを達成することにより、児童の自立を促し、「造形をとおした人間教育」の実現を図ることが現代社会の要求でもある。
本校の教育目標から
 本校の教育目標を図画工作科学習と結び付けて、次のように考える。
豊かな人間性をもった子ども
友だちへの思いやりをもち、美しいものを美しいと感じることが出来る豊かな情操をもつ。
自ら学び自ら考え正しく判断する子ども
問題解決のために的確な判断をして製作に取り組み、正しく評価できる。
協力してよりよい生活を創り出していく子ども
友だちとの交流を通して、楽しい発想をもち、創意・工夫して製作に取り組む。
(3) 本校児童の実態から
 本校の90パーセントの児童は、「図画工作科の学習が好き」という意識をもっている。
造形活動に対する関心も高く、ほとんどの児童が、自分の思いを基に表現することに進んで取り組むことができる。しかし、表現意欲を最後まで持続できない児童も見られる。実態調査では、全教科の中で図画工作科が好きな児童の割合が最も高く、ほとんどの児童が、どの領域もまんべんなく好きだと答えている。

このような児童の実態から、題材とのより感動的な出合いやより活発な交流活動(言語活動)といった手立てを組み込んだ仮説を立てることとした。

 子どもに育成する資質、能力を明確にし、題材との出会いの工夫と言語活動の充実と造形的環境の整備を図れば、つくり出すことに熱中する図画工作科のねらいを実現できる学習となるだろう。

      <は、今年度の努力点>
    
育成する資質・能力を明確にした授業づくり
まず子供の実態把握をして、目標を設定した後、それを達成するためには
  どのような指導が必要かを考える。
材料や用具、活動場所時間配分などを総合的に考えることで、子供の資質や
  能力を高める題材となるようにした。
題材との出会いの工夫
生活に中にあるものを材料としながらも、表現の活動に使うことでその面白さを
  感じたり、自分だったらと考えたりできる材料との出会い
子供の関心や意欲を高める出会い
思考力を働かせ、イメージが広がるような出会い
言語活動の工夫
「ことばのパレット」と「パレットタイム」
  図画工作科の授業の中で形・色・イメージに関係する言葉を拾い上げ、
  「ことばのパレット」として掲示した。
  鑑賞の場面(パレットタイム で、この「ことばのパレット」を活用することで、
  鑑賞の力を高めることにつながった。
「図工ファイル」
  図工ファイルにワークシートや振り返りカードを学習の足跡として残した。
  そのことにより、自他の作品のよさを感じ取る活動を積み重ねていった。
造形的な環境の整備
「材料ボックス」
 子供たちがつくりたいもののイメージにあった材料
「造形タイム」
  毎月第2(および第4)木曜日 8:35〜8:45の15分間
「造形砂場や土遊び広場」
  子供の興味・関心を誘発するような造形環境(造形砂場・土遊び広場など)
「児童作品展示や「みんなの掲示板」
  子供相互の造形的対話が生まれるような造形的環境
                       (児童作品展示、みんなの掲示板など)